世界で最も薄いノートブック -「MacBook Air」デビュー
Macworldのキャッチコピー「There’s something in the air.」が4日前にその姿を現して以来、さまざまな噂や憶測がなされてきましたが、今日ついにその答えがハッキリします。ウルトラポータブルMacノートは、いよいよそのベールを脱ぐ時が来たようです。おそらくは基調講演の最後の方で、ひょっとしたら「One More Thing…*」(*おなじみとなったとっておきの製品発表前のフレーズ)として登場すると思われます。そして、その時がやってきました。この日は4つの大きな発表があったのですが、その4番目として、ついに・・。
Appleは、米時間2008年1月15日午前10時過ぎ(日本時間1月16日午前3時過ぎ)、同社CEOスティーブ・ジョブズ氏の基調講演において、世界で最も薄いノートブックコンピュータとなる「MacBook Air(マックブックエアー)」を発表しました。ジョブズ氏は、なんと、この「Air」と名付けられた最新のスリムMacノートを封筒の中から取り出して見せました。ごくごくありきたりの薄い封筒から・・。
【NEW】MacBook Airを封筒から取り出すシーン+ジョブズ氏の基調講演[動画:約6分 Watch »]
「MacBook Air」は、最薄部が史上最も薄い0.4 cm、最厚部でも1.94 cm(最厚部が他社の最薄部よりもさらに薄い!)。13.3インチの水銀と砒素を含まない鮮明なLEDワイドディスプレイを搭載し、フルサイズのバックライト付きキーボードが組み込まれおり、さらに「iSight」カメラを内蔵、「iPod touch」のように指先で様々な機能性を発揮できるマルチタッチトラックパッドが採用されています。プロセッサには、このマシンのためにIntelが1年をかけて60%の小型化を実現した1.6 GHz(1.8 GHz – オプションで選択可)Intel Core 2 Duoチップが使用されており、4MB二次キャッシュ搭載で2GBのメモリが標準装着、80GBの1.8インチハードディスクドライブ、さらにワイヤレステクノロジとして最新の802.11n Wi-FiとBluetooth 2.1を搭載しています。最小構成価格は22万9,800円。
スティーブ・ジョブズCEOは、
フルサイズのキーボードとフルサイズの13インチディスプレイを犠牲にすることなく、世界で最も薄いノートブックを作りました。初めてMacBook Airを見ると、それがフルサイズキーボードとディスプレイを持つ高性能ノートブックだとは信じられないでしょう。
と述べています。
世界一の薄さとポータビリティと美しい外観が同居
スティーブ・ジョブズCEOが基調講演でも強調するように、「MacBook Air」はただスリムなだけでなく、ポータビリティを追求しながらも、ディスプレイやキーボードには一切妥協をしていない点は見逃せません。13.3インチの電力効率にもすぐれたワイドスクリーンLEDディスプレイに、(ジョブズCEOがAppleノート史上最高の出来と胸を張る)ブラックの自動調整バックライト付きフルサイズキーボードを搭載しており、ポータブルでありながらもその操作性に大きな配慮がなされています。また、エッジに丸みを持たせたシルバーの筐体は思わずハッと息をのむほどの美しさで、耐久性の高いアルミニウムで全体が覆われています。
Intelが「チャレンジングだ」と表現する超マイクロプロセッサ
プロセッサには、このマシン専用に開発された特注のCore 2 Duo 1.6GHzを内蔵しています。Intelの社長兼CEOポール・オテリーニ氏は、Macworldの基調講演にゲストとして招かれ、
約1年前にAppleがこのマシン向けのマイクロプロセッサ開発をを打診してきました。開発当初は不可能かと思いました。最終的に最善を尽くしてこの革新を成し遂げることができました。
と述べています。このプロセッサは、Tsugawa.Tvが調べてみた範囲では、現在のIntel社のチップ・カタログには載っていないようです。通常より60%も小型化を実現しており、まさに特注品といえるのかもしれません。このほかの主要スペックとして、2GBが標準となったメモリ、80GBの1.8インチハードディスクドライブを搭載。オプションとして、高い耐久性を備えた64GBソリッドステートドライブ(SSD)が選択可能(ちょっと高いが・・)。
マルチタッチジェスチャーをサポートした大きめのトラックパッド
トラックパッドには、「iPhone」や「iPod touch」ユーザにはおなじみのジェスチャーコントロールが取り入れられています。数種類のマルチタッチ操作が可能なほかカスタマイズもできます。例えば、2本の指でつまんだり3本指で写真をめくったりウェブページの拡大表示なども指先の直感的な操作で可能。
Mac史上最薄バッテリと生まれながらのワイヤレス
「MacBook Air」は、エネルギー効率に優れワイヤレス利用環境で最大5時間のバッテリ駆動時間を実現(バックライトや無線LANを調整して意図的に省エネルギー優先にした場合の数字ではない)。本体が史上最薄だけにバッテリもMac史上最高の薄さです。さらに、ワイヤレステクノロジとして、802.11gに比べて最大5倍のパフォーマンスと2倍の通信範囲を持つ、AirMac Extreme 802.11n Wi-Fiネットワーク機能を搭載しています。「MacBook Air」は、その薄さを実現するために光学式ドライブを搭載していませんが、これらのワイヤレス機能を経由して、ネットワーク接続されたほかのMacやWinの光学式ドライブを借りることが可能になっています。
スティーブ・ジョブズCEOは基調講演のなかで、
ワイヤレスに映画をレンタルできるし、最近ではCDの代わりにみんな「iPod」を使っています。バックアップは今日ご紹介した「Time Machine」と「Time Capsule」でワイヤレスに可能ですし、ソフトのインストールは、Finderの新メニュー「Remote Disk」で、ネットワークに接続した他のマシンのドライブにアクセスできます。光学式ドライブが無いことを気にする必要は全くありません。
と述べています。
なお、オプションとして、「MacBook Air」専用にデザインされたコンパクトな外付けUSB接続・バスパワー動作の「MacBook Air SuperDrive」も用意されています(¥11,800)。
グリーン度の高いガジェット
リサイクル需要が高い材料であるアルミニウムを筐体に採用、ヒ素を含まないガラスを用い同社初の水銀ゼロLCDディスプレイ、大部分のプリント基板への臭素化難燃素材の使用ゼロ、そしてPVCゼロの内部ケーブルなどにより、継続的な環境への取り組みを具現化しているとしています。さらに、ENERGY STARに準拠し、すべてのMacの中でも最も消費電力が少なく、そのパッケージボックスも大部分がリサイクル素材でできており、これまでで最も小さかったMacBookのパッケージよりもさらに56%小さくなっています。
MacBook Air(¥229,800)
- 13.3インチLEDバックライト搭載クリアワイドスクリーンディスプレイ(解像度1280×800)
- 1.6 GHz Intel Core 2 Duoプロセッサ、4MB二次キャッシュ搭載
- 800 MHzフロントサイドバス
- 2GB 667MHz DDR2 SDRAM
- 80GBハードディスクドライブ、緊急モーションセンサー付き
- Intel Graphics Media Accelerator X3100
- Micro DVIポート(Micro-DVI-VGAおよびMicro-DVI-DVIアダプタ付き)
- iSightカメラ内蔵
- AirMac Extreme 802.11nワイヤレスネットワーク機能およびBluetooth 2.1 +EDR内蔵
- USB 2.0ポート1基
- ヘッドフォンジャック1基
- タップ、スクロール、ピンチ、回転、およびスワイプの高度なマルチタッチジェスチャーに対応したマルチタッチトラックパッド
- 45W MagSafe電源アダプタ
また、統合デジタルライフスタイルアプリケーション「iLife `08」と世界で最も先進的なOS「Leopard」が搭載されています。
以上のほかにもBTOオプションとして、1.8 GHz Intel Core 2 Duoプロセッサへのアップグレード、64GBソリッドステートドライブ (SSD)、MacBook Air SuperDrive、Apple USB Ethernetアダプタ、Apple USBモデム、Apple MagSafe エアラインアダプタ、Apple Remote、そして AppleCare Protection Planが用意されています。
「MacBook Air」は、Appleのオンラインストア「Apple Store」のほか、全国の直営店の「Apple Store」(銀座店ほか) およびApple社製品取扱販売店を通じて、2週間後から出荷が開始される予定です。