「iPhone/iPod touch」がAdobeのFlashテクノロジをサポートしていないことで、ユーザはWebで配信されている多くのリッチな動画コンテンツを閲覧できないという制限を長らく受けています。
また、これらの最新デバイスがFlash未対応のため、Web制作者たちは、アニメーション効果をQuickTimeビデオプレーヤー(H.264コーデック形式)に変換したりJavaScriptを使うなどして、iPhone/touch向けだけに代替方法を考慮する必要に迫られ、多くの苦情や不満が向けられてきました。
Bloombergは、AdobeのCEO (最高経営責任者) Shantanu Narayen氏が、同社のFlashテクノロジをiPhoneがサポートすることについて、Appleと共同で取り組んでいると述べたとレポートしています (via MacRumors)。
Narayen氏は、ダヴォス (スイス) の世界経済フォーラムの場で、Bloombergとのテレビインタビューに答えて次のように発言しました。
とても難しい技術的な挑戦だ。それは、AppleとAdobeが共同開発している理由のひとつでもある。
ボールはすでに我々側に投げられている。あとはAdobe側が責任を持ってそれに応えることだ。
昨年の3月、Appleのスティーブ・ジョブズCEOは、現在のFlashではiPhoneでの動作が遅いと指摘し、またそれ以前にも、バッテリ消費量を理由に搭載は難しいとコメントしていました。
その後、Adobeは、昨年11月にARMと共同でARM11系プロセッサ向けにFlashを最適化することの実現に向け共同で開発を進めていると発表しました。それはつまりAppleのiPhoneを視野に入れた開発だともいえる訳です。
AppleとAdobeは、Adobe Photoshop 1.0が開発された頃から20年に渡り、良好なパートナーシップを築いて来ました。
Flashのモバイル環境への適応度が低いことは確かであり、Appleはまた独自に、ブラウザにおいてプラグイン無しでインタラクティブな実行環境が可能な「SproutCore」というオープンソースのJavaScriptフレームワークの開発を押し進めています。
昨年の10月、Adobe SystemsのエンジニアリングディレクターPaul Betlem氏は、今日のNarayen氏とは全く逆の発言をしています。
我々の開発チームはiPhone向けのFlash開発に取り組んでいますが、これは閉ざされたプラットフォームです。
すべてはApple側の決断次第であって、言い換えれば、Apple側にすべて投げかけているところです。
これまでの経緯を考えれば、これらのコメントから、両社の関係は決してうまくはいってないようにも思えます。
特にAppleのトップはFlash搭載を一貫して否定して来ました。
Appleスティーブ・ジョブズCEOが6月一杯まで休養することが、今回のFlash問題に何か絡んでいるようにも思えます。