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6月か7月に次世代iPhoneと共にエントリークラスをリリースか – アナリスト

Appleは、一時噂になった「iPhone nano」などのようにサイズや機能を抑えたスマートフォンのリリースに前向きでないとされるなか、AppleInsiderでは、RBC (Royal Bank of Canada) キャピタル・マーケッツのアナリストMike Abramsky氏が、Appleは、3G接続や無制限データプランなどを省略したエントリークラス向けのiPhoneを発売するだろうと述べたと伝えています。

これによると、最近Appleの株価予想を巡り一部メディアで叩かれたアナリストMike Abramsky氏は、昨日クライアント向けに提出した調査書類において、Appleは今年6月または7月に、「iPhone 3G」の次期バージョン(第3世代)と共に、データプランや価格、購入補助金などを抑えたエントリーレベルの「iPhone」を発売するだろうと予想したとのことです。同氏はレポートの中で情報源には一切触れていません。

今回のレポートには、「公表時での最高の見積り(スペック変更の可能性あり)」というタイトルで、エントリーレベルと次期「iPhone」の比較表が添えられています。

次期iPhone 3GとエントリーレベルiPhoneの機能や価格の比較表

これによると、フラッグシップモデルとなる第3世代新型「iPhone」は、16GBモデル(199ドル)と32GBモデル(299ドル)のラインアップになっており(*金額は400ドルの購入補助金適用後の価格)、 無線機能は、UMTS/HSDPA接続のほか、Wi-Fi、Bluetooth、GPSなどに対応し、カメラは2メガピクセルのままとしながらも動画(ビデオカメラ)対応になると予想されています。
タッチスクリーンパネルについては、3.5インチサイズが据え置かれると予想されていますが、解像度が480×320から720×480に改良されるかもしれないとのこと。これは、日本の携帯電話メーカーが800×480の高解像度スクリーンを採用していることへのアクションなのかもしれないようです。

一方の「エントリーレベル」と呼ばれるiPhoneについては、ボディはほぼ同じ形体ながらわずかに厚みがあるかもしれないと指摘されています。スクリーンパネルのサイズは3.5インチで、解像度は480×320。さらに、3G接続が削除されてトラディショナルなEDGEをサポートし、GPS機能も搭載されず、ビデオカメラへの対応ないだろうと予想されています。
エントリーレベルは、搭載メモリが8GBで、キャリアによる200ドルの購入補助金の適用後価格が99ドルと予想され、ワイヤレス通信は3Gが省かれEDGEなどへのサポートとなり、月々の支払いでは15ドル程度のライトプランが用意されるだろうと示されています。

このようなAbramsky氏の指摘とは裏腹に、先月行われたAppleの第1四半期業績発表において、Tim Cook COO (最高執行責任者) は、以下のように述べています。

Appleは、ローエンドの携帯電話ビジネスには興味が無い。分かるでしょう、それがApple(というブランド)だからです。
そのような価格競争は別のメーカーにやらせておけばいい。Appleの目標は、出荷台数でトップになることではないのです。我々の使命は「最高の電話機を作る」ということなのです。

Abramsky氏は、現在の経済不況下において、Appleが出荷台数を増加させる狙いでエントリーレベルのiPhoneを投入する見込みだとする一方で、価格が抑えられることにより利潤が減り、またハイエンドのiPhoneやiPodの販売台数を減少させかねないので、Appleには魅力的には映らないのかもしれないという見方も同時に示しています。

iPhone 3G(ハイエンド)とエントリーレベルiPhoneの販売台数予測チャート

新型「iPhone 3G」の製造価格が300ドルとすれば、エントリーレベルの「iPhone」では、3GチップセットとそのロイヤリティやGPSなどが除外されるほか、デジタルカメラモジュールをはじめとする部品類の価格が既存コンポーネントより低く抑えられるので、トータルで195ドルから225ドル程度に抑えることが可能であるとAbramsky氏は指摘しています。
この見積りでは、エントリーレベルの利益率は30%(90ドル)程度となり、「iPhone 3G」の50%(300ドル)よりも大きくマージンが減るため、グロスで考えた場合、「iPhone 3G」1台に対して3台のエントリーレベル「iPhone」を売る必要があるという計算になります。2010年度決算において、イニシアティブで損得無しにするには合計で3,400万台を売り上げる必要があり、同氏によれば、エントリーレベル「iPhone」は、そのなかで2,000万台から3,000万台程度の出荷が見込まれるだろうと算出しています。

皮肉にもAbramsky氏は今年1月、Appleの成長と利潤の評価を引き下げて、同社の株価を「アンダーパフォーム」に設定し、株価ターゲットを70ドルにまで引き下げた時にも、今回のレポートで言及したマージンを少なくする戦略について述べていました。
もっともその後、Appleの株価が急上昇して少々恥をさらさせた格好になってしまいましたが。

月曜日のNYナスダックで、Appleの株価は久しぶりに100ドルを突破し102.51ドルにまで伸ばしましたが、翌火曜日は、5ドル近く下げて再び100ドルを割り込んでいます。
昨年9月のリーマンショック以降、それまで190ドル近くあったAppleの株価は半値以下に落ち込み、今年1月の好調な業績発表後に回復傾向にあるとはいえ、依然として厳しいアメリカ経済のなかでいかにこの状況を切り抜けるか、しばらくの間目を離すことはできないでしょう。

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