多くの投資家はジョブズCEOが復帰しないことを織り込み済み
ロイターでは、昨年のリーマンショック以降低迷し、今年1月20日には2年ぶり安値を付けた米Apple株価について、ここに来て約50%も急速に値を戻して来ており、背景には投資家がスティーブ・ジョブズCEO不在の経営陣に対して安心感を持ち始めていることが挙げられると伝えています。
今年1月14日、同氏は6月末まで病気療養のため会社から離脱すると発表を行い、その後一部の株主からは、開示情報が少ないという懸念の声も挙がっていました。
現経営陣が非常に優秀だとする見方がある一方で、カリスマであるS.ジョブズCEO不在が影響して、同社の株価が10─20%程度割安で取引されているという指摘も根強いようです。
ソニーやデルなどのライバル企業がリストラを行うなかで、Appleは好調に業績を伸ばしており、ジョブズCEOが予定通りに7月はじめにカムバックすれば、株価の上昇はさらに勢いがつくと予想されています。
しかしながら、2008年末時点でApple株150万株を保有していたビクトリー・ラージ・キャップ・グロース・ファンドのエリック・マロナックCIOによると、多くの投資家はすでにジョブズCEOが復帰しないことを織り込み済みだとのことであり、ここ数ヶ月で、ジョブズ氏の去就問題の重要性は低くなりつつあるようです。
また、ファースト・アメリカン・ファンズのアナリスト、ジェーン・スノレック氏は
(Appleの)株価は、彼が1日24時間フルタイムのCEOとしては戻ってこないとの見方を織り込んでいる。
Appleは彼がいようといまいと、消費家電業界ではベストな会社。ただ彼がいれば、その状態がはるかに長く続くという自信がもっと大きくなる
と述べています。
現在Appleの陣頭指揮を執るティム・クックCOOが2月24日の株主総会を取り仕切り、1月に開催されたMacworldの基調講演はフィリップ・シラー上席副社長が受け持つなど、これまでジョブズ氏一色だった表舞台に他の経営陣が立ち始めています。