製造コストは「3G」を若干上回る程度、iPod touchと同じチップの採用も
いよいよ日本でも明日(2009年6月26日)発売開始となるAppleの最新スマートフォン「iPhone 3GS」について、電子機器市場調査iSuppliが同端末の16GBモデルを分解して分析調査した結果を発表しており、これによると部品原価は172.46ドル、製造費は6.50ドルとなり、製品原価は合わせて推定178.96ドルと見積もられることが明らかになりました。
この金額は、同社が昨年見積もった「iPhone 3G」8GBモデルの原価174.33ドルに対して、容量やいくつかの新たな部品が追加されたにも関わらず、わずか5ドルも上回らないことになります。
iSuppliによれば、部品と設計の側面からみた場合、「iPhone 3G」と「iPhone 3GS」は、ほとんど同じ構成となっており、Appleはわずかな原価増にも関わらず、よりパフォーマンスの高い製品の提供に成功したようです。
ただ、この見積りには、ソフトウエア開発費や流通、梱包、ロイヤルティ、マーケティングなどのコストは含まれていません。
米国での「iPhone 3GS」16GBモデルの発売価格は199ドルですが、サービスプロバイダが負担する販売奨励金を考慮すれば、昨年の「iPhone 3G」よりも割引前の販売価格はかなり高いと分析されており、つまりは、1台あたりの利幅も相当上昇していることを意味します。
「iPhone 3GS」で変わった点として、Broadcom製のBluetooth/FM/WLANチップ(BCM4325)が採用されている点が挙げられます。従来モデルでは、Marvell製のW-FiチップとCambridge Silicon Radio製のBluetoothチップが別々に使われていました。
このBroadcom製シングルチップは5.95ドルと見積もられており、全く同じチップは第2世代iPod touchにも使われています。Appleはここでも共通の部品を使うことで、原価を抑えることに成功したようです。
そのほかの注目すべき点として、デジタルコンパス向けチップとして、旭化成エレクトロニクス(AKM Semiconductor)製の方位角センサーIC(AK8973)と、STMicroelectronicsの加速度センサーが採用されており、双方ともに3軸ホール素子が使用されていて、方角をデータとして取得する機能が提供されます。
また、サムスン製アプリケーションプロセッサの電力管理ICとして、従来のNXP Semiconductorsに代えて、新たにDialog Semiconductorの電源管理ICが搭載されています。
ほかに、QualcommがベースバンドLSIを供給するとみられていましたが、結局これまで通りInfineon製チップ(PMB8878)が採用されています。
最も高価な部品は、24ドルの東芝製16GBフラッシュメモリでしたが、東芝による独占供給ではなく、サムスン電子など他のメーカーからも入手している可能性があるようです。