競合するライバル2社の取締役兼任で反トラストの可能性も指摘されていた
Appleは8月3日(米国時間)、Googleのエリック・シュミットCEOがAppleの取締役を辞任したと発表しました。
同氏は、2006年8月29日にAppleの取締役に選任されて以来、およそ3年間に渡ってGoogleとAppleの取締役を兼任したことになります。
シュミット氏の取締役兼任については、米連邦取引委員会(FTC)によって、今年5月に反トラスト法を視野に入れた調査が開始されていました。
1914年に制定されたクレイトン法第8条では、競合する2つの会社の取締役を兼任することが禁止されており、AppleとGoogleは、スマートフォン、Webブラウザ、インターネットサービスなどといった多くの分野で競合していることから、FTCとの話し合いによって、今回の辞任劇に至ったように思われます。
ほかにも、両社はともにMicrosoftにとって最大のライバルになることから、業界や政界からの圧力が強まった可能性も指摘されています。
6月末に長期療養から復帰しているAppleスティーブ・ジョブズCEOは、エリック・シュミット氏の辞任について、
シュミット氏は、Appleの取締役として、Appleを成功へ導く手助けとなる素晴らしい役割を果たしてきましたが、不幸にもGoogleが展開しているAndroidやChrome OSが、Appleの中核事業と直接的にも間接的にも重複してきたため、潜在的な利害の衝突を避けるためにも、議題に参加できる回数が減少し、今が辞任する最適なタイミングだと判断しています
と述べています。
AppleとGoogleは、シュミットCEOのほかにも、前Genentech CEOのアーサー・レヴィンソン氏が両社の取締役を兼任しており、今後の動向が注目されます。
シュミット氏はFTCの調査が始まった際に、GoogleはAppleを競争相手とは考えていないとしながらも、iPhoneが議題になる時には取締役会議には出席していないと述べ、さらに、Appleの取締役を辞任する考えが無いと表明していました。
今回、シュミット氏が片方の取締役から退いたことから、FTCによる調査は終了し、大きな問題に発展することは無いと思われます。