Apple、Google、AT&T – App Storeでの「Google Voice排除」に関し声明を発表
GoogleがiPhone向けに開発した音声通話用アプリケーション「Google Voice」が、iPhoneのコア機能と重複するという理由で、Appleにより関連アプリケーションとともにApp Storeから(明らかに)締め出され、米連邦通信委員会(FCC=Federal Communications Commission)が調査に乗り出していた件で、Apple、Google、AT&Tの3社は21日(米国時間)、回答期限となる同日、FCCの質問状に対する回答をそれぞれ公開しました。
Appleが同社ウェブサイト上に公開した声明によれば、Appleは、メディアで報じられたように「Google Voice」を却下した訳ではなく、現在もどのような対応をするか吟味している最中であるとし、さらに、iPhoneの通信キャリアであるAT&Tは、この承認プロセスに関わっていないことを明らかにしました。
Appleは、「Google Voice」がiPhoneのコア機能とユーザインタフェースを置き換え、通話、SMS、ボイスメールなどといったiPhone独自のユーザエクスペリエンスを失わせることになるだろうしたうえで、さらに、Googleのサーバに転送されるiPhoneユーザのコンタクト・データベースに対して、いかなる保証もGoogleから得られていないとも言及しています。
App Storeは現在、65,000超のiPhone向けアプリケーションを提供し、ユーザにより15億件もダウンロードが行われるなか、NokiaやMicrosoft、RIM、Palm、Verizonなどのライバル企業と、自前のプラットフォームでのアプリ開発環境開発を争ううえで、App Storeでの承認基準は、ユーザのプライバシーや子供の不適切なコンテンツからの保護、そして、iPhoneのコアエクスペリエンスを低下させるアプリケーションを排除することにあると述べられています。
また、Appleは、ポリシーや手順を見守る特別な監視委員会が存在することを明らかにし、40名以上のアプリ審査員がいて、選別ガイドラインが一様に励行されるよう、1つのアプリに対し2名以上の審査員が承認するか否か調べることにしているとしています。
「Google Voice」は、Googleが買収したGrandCentralのサービスをベースに、複数回線を単一の電話番号にまとめ、「VoIP (Voice over IP) 」によるデータ通信経由での音声通話を可能とするアプリで、代表番号を発信元とするSMSの送受信やボイスメール再生・音声認識・テキスト変換、通話履歴表示など、電話関連の機能がひとつに集約されたツールであり、iPhone以外のAndroidやBlackBerryプラットフォームでは、すでに無料提供されています。
Appleは、AT&Tとの協定のなかで、「VoIP」によるデータ通信経由での音声通話を可能にするアプリの承認を禁止することになっており、iPhone版Skypeなどの電話アプリでも、通話機能がWi-Fi環境に限定されているのはそのためだと指摘しています。
このような現状下、Googleは、「Google Voice」のApp Storeでの却下後、同アプリをウェブブラウザベースで利用可能になるよう、Webアプリケーションとして提供するべく開発を進めているとされています。
この差し替え作業は順調に進んでいるとされ、一般公開時期は不明ですが、iPhoneのSafariブラウザに最適化されたWebアプリ版「Google Voice」としてまもなく登場するとみられています。