Appleは11日(米国時間)、最新OS「Mac OS X 10.6 Snow Leopard」に搭載したコアテクノロジのひとつ、マルチコアプロセッサに対応し効率的かつ高度なマルチスレッド実行・並列化プログラミング環境である「Grand Central Dispatch (GCD)」をオープンソース化しました(via MacResearch)。
Apache License 2.0のもと、デベロッパ向けにオープンソースプロジェクトとして、「libdispatch」と呼ばれるAPIライブラリで既に公開されており、これにより、マルチコアシステムのパワーを引き出すプログラミングが容易になるとされています。
現在のところ、GCDのカーネルはサポートされておらず、 xnuプロジェクトからそれぞれのプラットフォームで書き直す必要があり、また、文法拡張「Blocks」をサポートするCコンパイラも充分ではないものの、ランタイムにはLLVMプロジェクトを利用できます。Appleは今後、GPLのもとで、GNU Compiler Collectionの更新版を公開すると思われます。
今回のオープンソース化に伴い、もちろん、Appleのライバルなどに利用されるリスクも生じますが、UNIXコミュニティに広く公開することで、Mac OS X上でクロスプラットフォームのアプリケーション制作に使用され、Appleのビジネス上の競合ではないUNIX/Linuxオペレーティング・システムでの需要が予想されることから、標準化された言語として、エンタープライズやスパコンなどの分野でのAppleのポジションが向上するのではと期待されます。
プログラムを並列化する枠組みとなる「Grand Central Dispatch」がよりオープンになったことで、標準化団体「クロノスグループ」により管理され多くのベンダーが参加するオープンテクノロジ「OpenCL」などのように、Appleの他のオープン技術と並列的な互換性を構築するための、よりオープンな基盤を持つようになるとも予想されます。
また、モバイル向けWebkitをはじめ、Bonjour、CUPSなど、オープンソースライセンスで開発されたことで広く成功を収めて来たという過去の例もあり、オープンなUNIXツールの提供により、デベロッパによって新しいMacプラットフォームにもたらされる利益は大きいと見ることもできます。
[参考資料]
– GCD技術資料(英語)[PDF]
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