AppleのiPhoneおよび3G版iPadに使用されている3Gデータ通信技術が、モトローラ社保有の特許を侵害しているとして同端末の販売差し止めを求めていた裁判で、ドイツ・マンハイム連邦地裁は12月9日(現地時間)、モトローラの主張を認める仮処分決定を下した。
モトローラ(Motorola Mobility)は2011年4月、Appleによって「パケット無線電信システム向けにモバイル転送時にカウントダウン機能実行法」と題された欧州特許1010336 (B1)が侵害されていると主張して提訴。これはiPhone/iPadに組み込まれたGPRSと呼ばれるGSM方式のデータ伝送に関する技術であり、ドイツ地裁はFRAND条件(公平・妥当か つ非差別的な条件)のポリシーに反すると判断した模様だ。なお、この仮処分についてモトローラに対し1億ユーロの保証金を課すことを前提としている。
焦点となっているのは無線伝送の基礎になる技術であり、モトローラはiPhoneのオリジナルモデルが発売された2007年以降の損害を請求する可能性が高い一方で、Appleはこの判断を不服として高等裁判所に上告するとみられる。なお、Wi-Fi版iPadやiPod touchは対象外となっている。
AllThingsDによると、Appleは新たにドイツでiOS端末を輸入することはできないが、すでに同国内に十分な在庫を確保しており、クパティーノのスポークスマンは「我々は年末商戦にドイツでiPhone/iPadを問題なく販売できる」と述べているという。しかし、販売差し止め執行の猶予が認められない場合、ドイツ国内の在庫が無くなり次第、2012年以降同国内ではAppleのモバイル端末を購入できなくなる可能性がある。
ほかにも、フランスでサムスン電子がiPhone 4Sの販売差し止めを求めていた裁判ではサムスンの申請が却下され、また、オーストラリアではAppleによるサムスン製タブレット端末の販売差し止めが解除されるなど、スマホやタブレットの世界的な需要の高まりに比例するように、それらに関連する特許訴訟合戦が各地で繰り広げられている。