Bloombergでは、NTTドコモの平田正之副社長が、同社とAppleが「iPhone」の日本での販売を巡り、技術的な問題と利益分配に焦点を当てて協議をしていることを明らかにしたと伝えています。
平田氏は
「iPhone」は使いやすく、新しい市場を切り開いてくれる可能性があるので、非常に興味深い案件だ。Appleとは継続してコンタクトを取っているが、まだ詳細を語る段階には至っていない。
と昨日のインタビューでコメントをしました。
ドコモとしては、KDDIとソフトバンクモバイルに新規契約数で遅れをとっており、「iPhone」の販売権を獲得することで、契約数を伸ばして、2年連続の減益から回復したい狙いがあります。
Appleの「iPhone」は、W-CDMA方式よりも古いGSM方式 (2.5G) を採用していますが、日本ではW-CDMA方式 (3G) への移行が既に進んでいるため、この辺りの技術的な問題がネックになってきます。
この技術面に関して平田副社長は
世界のGSM市場は何億人ものユーザで形成されている (80%以上) のに対して、日本のW-CDMA加入者は5,000万人に過ぎない。日本向けだけに「iPhone」の仕様変更を求めるのは難しそうだ。
3G対応を急ぐと、「iPhone」が既に販売されている国々で、Appleの既存の2Gサービスを脅かすだろう。3G版へのスイッチは世界的な流れのなかで生じてくると思う。
と述べています。
また、両社のビジネスモデルの違いにも触れており、Appleの利益を分配するやり方に対しては、さらに熟考しなければならないとしています。利益分配協定の詳細は明らかにされていませんが、加入者1人あたり月々いくらかの金額をAppleが得るシステムになると推測されます。
またこの記事では、KDDI、ソフトバンクモバイルとAppleの関係についても触れられており、KDDIの小野寺社長はAppleと「iPhone」について協議したことを認めているが、日本での「iPhone」の販売数は、3G対応でなければ限定的になるだろうという考えを示しており、また、ソフトバンクモバイルからは詳しいコメントは得られていないと伝えています。
【Tsugawa.Tv’s Vision】
ドコモとしては、あくまでもデバイスを作るのはAppleだし、また、Appleのグローバルな戦略もあることから、あまりドコモ側の要望が聞き入れられないという不満はあるのでしょう。ドコモの役員クラスの言動を聞いていると、それほど積極的な姿勢が感じられません。販売権を得ることでマイナスは無いにしてもそれほど大きなプラスにはならないと考えているようです。実際そうでしょうか?私の考察からすると、販売台数は、先行で発売されている欧州よりはずっと勝ると思います。
ドコモはGoogleの各種サービスを取り入れ、また「Android」ベースのデバイス開発にも前向きです。なぜなら、Googleの提供するサービスはあくまでアプリケーション・ベースであり、ドコモも自分のプラットフォームにおいていろいろと細工がし易いという面があります。これらのサービスの方がドコモは自社に取ってプラスだと考えているのでしょう。