3Dディスプレイや電子ペーパー市場も大きく成長
市場調査会社富士キメラ総研は31日、世界のディスプレイデバイス市場の調査報告書を発表し、LCD市場は2008年〜09年にかけて、2年連続で縮小傾向にあり、回復するのは2010年以降になるという見通しを示しました。
この調査結果によると、2008年第4四半期から始まったディスプレイデバイスの生産調整は、2009年2月下旬より回復基調に入っており、主力デバイスであるTFTのライン稼働率(G6以上)は、6月時点で韓国メーカーで80~90%、台湾大手で70~80%まで上昇しており、9月までは高稼働を維持するとみられています。
一方で、需要の先行きが不透明ななか、商品の低価格化が進んでおり、実需の回復は2010年以降となる可能性が高く、2009年後半の生産調整が懸念されています。
低価格商品のラインアップが強化される一方で、商品の差別化も進んでおり、注目市場として、省電力化やタッチパネルインタフェースの採用、3Dディスプレイといったテーマがピックアップされています。
3Dディスプレイ | 15億円 | 33億円 | 1,969億円 | 131倍 |
電子ペーパー | 154億円 | 254億円 | 1,081億円 | 701.9% |
静電容量式タッチパネル | 436億円 | 511億円 | 782億円 | 179.4% |
このうち、「静電容量式タッチパネル」については、2009年に入り、Samsung、LG、HTCに加え、日本国内でもシャープ、富士通、NEC、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ、東芝などが、静電容量式タッチパネルを搭載した携帯電話を相次いで発売しており、今後も携帯電話を中心に成長していくと予想されています。
2007年にAppleが、「iPhone」や「iPod touch」で投影型静電容量式タッチパネルを採用し、既存の抵抗膜式タッチパネルにない操作性を実現し大ヒットして以降、タッチパネル採用の携帯電話市場は大幅に拡大。2008年は、数量ベースで前年の4倍となる4,490万枚、金額ベースで同2.5倍の436億円と大幅に増加しました。
抵抗膜方式に比べ打点寿命が長いことや、2点押し(多点検出)が可能なこと、より端末を薄型化できる点などがメリットとして挙げられています。
また、「電子ペーパー」市場については、最近、電子書籍リーダーの新製品を発表した米ソニー(Sony Electronics)や、「Kindle 2」や「Kindle DX」をラインアップしている米Amazon.comの販売が順調なことから、2009年以降、欧米を中心に電子書籍/電子辞書市場では、年率60%で高成長していくと予測されています。
3D映画が増えて来て注目を集めつつある「3Dディスプレイ」市場については、2009年内に3D対応Blu-rayの規格化が決まる見通しで、2009年6月に決定したHDMI1.4の規格では3D表示に対応するなど、続々と規格が決まり参入しやすい土壌が出来上がってきています。
また、富士フイルムは今年7月、3Dカメラ「FinePix REAL 3D W1」と、専用ビューワー「FinePix REAL 3D V1」を発表しましたが、まだ統一規格が無いため、3Dデジタルフォトフレームについては、当面このようなセット販売に留まると想定されています。
ほかに、PCモニタはPCモニタ市場の7~8%程度(1,000万台前後)の限定的な需要に留まり、2010年からパッシブ方式の液晶TVも登場する見込みである一方、2014年までは3Dの映像放送は非常に限定的とみられ、ハイエンドホームシアター需要に留まると予想されています。