Appleが現地時間19日にiBooks 2とともに発表した電子書籍オーサリングツール「iBooks Author」に関して、その機能性の高さや無償での提供を歓迎する声が多く聞かれる一方で、 コンテンツに課金する場合はiBookstoreでの限定販売となることがソフト使用許諾契約(EULA)に盛り込まれていることを巡って議論が高まっている。
iBooks Authorを使えば、コーディングなどの専門知識が無くてもフォトギャラリーや3Dイメージ、ビデオなどのグラフィックス要素を埋め込んだインタラクティブな電子書籍を簡単に発行できる。
大手出版社というよりは中小および個人向けツールとして定着しそうだが、iBooks Authorのアプリケーション使用許諾契約には、課金する際にはiBookstoreなどApple提供の配信ストアのみとされており、必然的に売上の3割をAppleにカットされることになる。
議論の中心となっているのは、Macにデフォルトで搭載されているGarageBandやiMovieなどを含むほかのApple純正ソフトで制作した作品は自由に発表できたり発売できる一方で、なぜiBooks Authorで作ったコンテンツを販売する際にのみ、著者や出版社の配信権利がAppleの支配下に置かれるのかという点だ。
また、書き出しフォーマットがePubをベースにした独自拡張版iBooks形式(.ibook)のほか、PDF(.pdf)、テキスト(.txt)の3種類となっていて、標準的なePub形式が含まれていない点にも注目が集まっている。
Macworldによると、Appleのスポークスマンは「iBooks Authorで提供される多くのインタラクティブ要素をePubがサポートできないためだ」と答えたという。
ほかにも、ISBNコード取得が求められる点や、iPad以外のiOS端末がサポートされていない点などがユーザの不満として挙げられている。
ユーザのサポートが無ければ、AppleによるiBooks AuthorとiBooks 2をベースとした教科書の再定義は実現しない。故スティーブ・ジョブズ氏の夢または野望のひとつだったとされる教科書の再発明が、今後どのような方向に向かうのか注目される。
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