日本もマルチキャリア採用でシェアが3倍に=ドコモからも販売される?
Appleが主要販売エリアで単一キャリアによる「iPhone」の排他的販売手法を見直せば、2010年には出荷台数を倍増させることが可能になると、米証券大手モルガン・スタンレーのアナリストであるキャスリン・ユベルティ氏が指摘しました。
同氏の分析によると、「iPhone」の売上の70%を占めているトップ6の市場では、依然として1キャリアからの独占販売が続いており、もし複数キャリアから「iPhone」を販売すれば、トップ6の国における市場シェアを現在の4%から10%にまで拡大することができ、2010年には4,170万台の出荷が可能であるとしています。
分析のベースになっているのは、通信大手Orangeから独占的に販売されていたものの、消費者保護の観点から「iPhone」が複数のキャリアから販売されているフランスにおいて、排他的販売手法を廃止した後に、キャリアによる割引合戦が行われて市場シェアが大きく伸びたという事例があります。
ユベルティ氏が過去に行った調査によると、35%の顧客が、「iPhone」のサービスプランの価格こそが購入の障壁になると答えたということです。
すでに英国では、2010年はじめから、これまでのO2に加えて、OrangeとVodafoneからも「iPhone」が発売されることが決定しています。
また、中国におけるChina Mobileとの契約は独占販売ではないことが明らかになっています。
今後もこのような動きは加速するとみられるものの、ユベルティ氏は、AT&Tが独占販売している米国では、4G(LTE)ネットワーク整備が完了する前にVerizon Wirelessから発売されることはなく、2011年まで持ち越されるだろうと予想しています。
なお、日本では、ソフトバンクが依然として独占販売を行っていますが、NTTドコモはAppleと断続的に交渉を行っているようであり、2010年にはドコモショップで「iPhone」を購入することができるようになるかもしれません。
日本の携帯電話市場では、NTTドコモのシェア50%に対して、ソフトバンクモバイルはわずか19%であり、仮にドコモから「iPhone」が発売されれば、想像をはるかに超える成果が見られるかもしれません。
実際、モルガン・スタンレーの分析によると、日本で複数キャリア戦略が実施されれば、市場シェアがこれまでの3%から、なんと3倍の9%にまで上昇するだろうということです(上グラフ参照)。
これは他の主要販売国である、米国(2.4倍)、カナダ(2倍)、英国(2.25倍)、ドイツ(2倍)、スペイン(1.5倍)を大きく超える数字であり、孫正義社長もそろそろ覚悟を決めた方が良さそうです。