承認されなかった音声通信アプリをウェブベースで開発・公開へ
Googleが「iPhone」向けに開発した音声通話用「Google Voice」アプリが、「iPhone」のデフォルト機能と重複するという理由でAppleによって締め出され、米連邦通信委員会も調査に乗り出すという大きな動きを見せるなるなか、New York Timesによれば、Googleは、「Google Voice」アプリをiPhoneのWebブラウザ「Safari」でフル機能を利用できるよう、Webアプリケーションとして開発を進めているということです。
Webベースのサービスとして提供すれば、Appleも特定のWebサイトを遮断する訳にもいかず、受け入れざるを得ない状況になりそうです。
この差し替え作業は順調に進んでいるようであり、一般公開時期は不明ながらも、「iPhone」のモバイル版ブラウザに最適化が図られたWebアプリとしてまもなく登場するようです。
「Google Voice」は、Googleが2年前に買収したGrandCentralのサービスをベースにして、複数の回線を単一の電話番号にまとめ、VoIPによるデータ通信経由での音声通話を可能とするアプリケーションであり、代表番号を発信元とするSMSの送受信やボイスメール再生・音声認識・テキスト変換、通話履歴表示など、電話関連の機能がひとつに集約された便利なツール。
同アプリは既に先月15日、Android端末とBlackBerry端末向けに無料でリリースされています(現在米国でのみで利用可能で要Google Voiceアカウント)。
しかし、携帯電話の電話帳と連携し、低料金の国際電話サービスの利用も可能できるので、通信事業社(AT&T)の事業と競合して、電話会社にとっては大きな脅威になるのも事実。
App Storeでは、「Google Voice」のみならず、「Google Voice API」に対応したサードパーティ製アプリも削除されました。
Googleは先月、「Google Voice」が承認されなかった際にも、Webベースなどの別のアプローチで提供を考えるとコメントを残していることから、すでに随分前からブラウザを利用したツールとして開発を進めていたようです。
iPhoneとAndroidという競合するプラットフォームにおいて、ライバル同士のせめぎ合いが続くなか、より便利な機能を求めるユーザと、自社の利益やパワーを保持することに賢明な企業側との大きな溝を感じざるを得ません。
また、不可解とされるApp Storeでの認証プロセスが、今後も尾を引くようであれば、開発者らはiPhoneから別のもっと透明性の高いプラットフォームへ移行するという流れを作ることも考えられ、実際、一部コミュニティではそういった風潮があるようです。
Googleが先月公開した、友人の現在位置情報を共有できるサービス「Google Latitude」においても、実際には「iPhone」アプリとして開発されたものの、「iPhone」のマップアプリとの混同を回避するようAppleから要請され、結局Webブラウザベースでのサービス提供になったということもありました。