オンライン将棋道場の将棋倶楽部24でコンピューターソフト「ボンクラーズ」(ユーザ名:bonkras)が注目を浴びている。
伊藤英紀氏が開発した将棋対局ソフト「ボンクラーズ」は、今年5月に開催された第21回世界コンピュータ将棋選手権で優勝した将棋プログラム。先週、将棋倶楽部24(東京道場)の過去最高レーティングを更新。2012年1月には日本将棋連盟会長である米長邦雄永世棋聖と対決する「電王戦」が開催される。
米長氏は練習用として特別に用意したボンクラーズと練習対局をしているそうだが「ほとんど勝てない」と語っている。なお、振り駒の結果、電王戦では米長氏の後手番が決まっいる。
チェスではすでにコンピュータが人間超えを果たしているが、より複雑な将棋では人間の方が勝るといわれてきた。だが、近年開発された将棋ソフトはアマのトップクラスどころかトップ棋士をも打ち負かすだけの実力を備えつつある。
プロ棋士や奨励会員らも参加することで知られる将棋倶楽部24だが、ボンクラーズはこれまでの最高得点3211(このレーティングも有名なコンピュータソフト「Ponanza」によるもの)をあっさり更新して、3,300点に迫る勢いだ。
序盤が定石展開であれば1秒以内の早指しで、以降も1手30秒以内の正確な差し回しが続く。また、終盤に相手玉の詰みを発見するとノータイムで秒殺するのが見ものだ。つまり、ノータイムの指し手が始まると詰みが分かる。
私も20局程度対局を拝見したが、人間には思いつかないような意外な手もあれば、トップ棋士らしい大局観に優れた指し手も見受けられた。また、中盤で人間にリードを許す展開でも、正確な差し回しで相手のミスを誘い、得意の終盤に持ち込んで勝利する場面も多々見られた。逆に終盤以降、同ソフトを逆転するのは至難の業である。
「将棋は相手のミスを誘うゲーム」ボンクラーズ vs 人間の対局をみて、そんなことを感じるのは私だけではないだろう。